混同されやすいカードローンとキャッシング。どちらも手軽に使えますから、急な出費があるときには便利な存在です。しかし、この2つには明確な違いがあり、特徴があります。手軽にお金を借りられるという点は共通していますが、それぞれの違いを理解しておくと、状況に応じた使い分けができます。
ここでは、カードローンと、カード付帯サービスのキャッシングの違いについて解説しますので、上手に利用して無理のないお借り入れをしましょう。
カードローンとキャッシングの違い
カードローンとキャッシングの違いについて解説する上で、まずは用語の意味を知っておきましょう。
キャッシングの本来の意味は、「現金を借りられるサービスの総称」のことです。そして、キャッシングの中に、「カードローン」と「カード付帯サービスのキャッシング」が含まれます。つまりこの2つは、お借り入れする手段や金利などが異なるだけで、どちらも同じ現金をお借り入れできるキャッシングサービスなのです。
しかし一般的にはカード付帯サービスのキャッシングを略して「キャッシング」と呼ぶことが多く、「現金を借りられるサービスの総称」という広い意味でのキャッシングと両方の意味で使われています。
では、カードローンとキャッシングの違いについて、簡単にご説明します。
・カードローン
カードローンは、現金のお借り入れに特化した、キャッシング専用のサービスのことです。カードローンの場合は、カードローンを提供する会社と契約し、利用可能な枠内で現金をお借り入れします。
・カード付帯サービスのキャッシング
カード付帯サービスのキャッシングとは、ショッピングなどで利用できるクレジットカードに、現金をお借り入れするキャッシング機能がついたもののことです。クレジットカード会社と契約し、利用するクレジットカードにキャッシング機能をつけると、利用可能な枠内で現金をお借り入れすることができます。
カードローンとカード付帯サービスのキャッシングの具体的な違いについては、次項からさらに詳しく解説していきます。
カードローンとキャッシングは金利にも差がある別々のサービス
「カードローン」とカード付帯サービスの「キャッシング」には、いくつか違いがあります。その違いについて見ていきましょう。
現金の借入専用の「カードローン」
カードローンは、借入専用のために作った。カード会社や消費者金融業者、銀行など、多くの会社からさまざまなカードローンが提供されています。
ATMによるお借り入れだけでなく、指定の金融機関の口座に指定額を振り込んでもらうという借り方もできます。審査によって決められた限度額の範囲内であれば、何度でもお借り入れすることができ、カードローンの限度額は一般的に数十万円から数百万円と、カード付帯サービスのキャッシングに比べて高額に設定されています。
返済方法は、一般的に月々の支払い期日に定額が銀行口座から引き落とされるリボルビング払いが適用されます。このほか、臨時収入があったときなどには、繰上返済ができるところもあります。
また、カード付帯サービスのキャッシングと比較すると金利は低めに設定されています。このような点は、カードローンを借入専用のサービスならではの特徴といえるでしょう。
カード付帯サービスの「キャッシング」
キャッシングというと、カード付帯サービスのキャッシングを指すことが一般的になっています。クレジットカードは、1枚のカードで、買物も、現金のお借り入れも両方できるという手軽さが特徴です。
キャッシング機能を利用したい場合、大手カード会社のクレジットカードであれば、全国の銀行やコンビニ、郵便局のATMで、銀行のキャッシュカードとほぼ同じ感覚で利用できますし、海外での利用もできます。金融機関の営業時間外やカードが利用できないお店などで現金が必要になったときには、とても便利なサービスでしょう。
返済方法は、一括返済方式や、リボルビング払い(リボ払い)などが適用されます。リボルビング払いには、毎月一定の金額を支払う「定額方式」や借入残高に対して一定の割合を乗じた金額を支払う「定率方式」、残高に応じて金額や割合を変える「残高スライド方式」などがあり、カード会社によって異なります。例えば、三井住友カード付帯のキャッシングでは、主に元利定額返済方式(元金と利息を合わせて毎月定額で返済する方法)を採用しています。
カード付帯サービスのキャッシングは、カードローンと比べると一般的にお借り入れの限度額が数十万円までとあまり多くなく、金利も高めに設定される傾向があります。
カードローンとキャッシングの最大の違いは金利
上記で「金利はカードローンが低く、キャッシングは高い傾向がある」とご紹介しました。具体的な金利は会社によってさまざまですが、こうした傾向が一般的であることは間違いありません。
もう少し具体的に、カードローンとカード付帯サービスのキャッシングの金利差について解説します。
<カードローンとキャッシングの金利の傾向>
カードローン | キャッシング |
---|---|
キャッシングと比較すると金利は低めカードローンの限度額は一般的に数十万円から数百万円と、カード付帯のキャッシングに比べて高額かつ、金利も低めに設定されている | カードローンと比較すると金利は高めキャッシングの限度額は一般的にお借り入れの限度額は数十万円までとあまり高くなく、カードローンに比べて金利も高めに設定されている |
カードローンとキャッシングの最大金利を比較
貸金業者や銀行などの案内を見てみると、金利の表示は例えば1.5%~18.0%というように、かなりの幅があります。一般的に利用枠が高ければ金利は低く、利用枠が低ければ金利は高くなる傾向があります。審査によっては上限金利が適用される場合もありますから、借入先を選ぶときには上限金利で比較するようにしましょう。さらに、カードローンとカード付帯サービスのキャッシングでは、この上限金利に差がある場合も多いのでご注意ください。
例えば、三井住友カードの例で見てみましょう。三井住友カードの、カード付帯サービスのキャッシングの金利は15.0%~18.0%となっています。大手クレジットカードのキャッシングでは、多くがこのレベルの金利に収まっています。
しかし、借入専用の「カードローン」「カードローン(振込専用)になると、金利は「カードローン」が1.5%~15.0%、「カードローン(振込専用)」が1.5%~14.4%と、カード付帯サービスのキャッシングと比べて、最大金利で3%程の違いがあります。また、一般的なカードローンの傾向と同様、借入金額が大きければ金利は低くなります。
さらに、三井住友カードの「カードローン」と「カードローン(振込専用)」には業界内でも珍しい特徴的なサービスがあります。
「カードローン(振込専用)」は、カードローンの持つ特徴はそのままに、口座へのお振込み専用のサービスとして提供しています。カードローン(振込専用)はカードが発行されませんので、ATMで現金を引き出すことはできません。そのかわり、最高金利がカードローンの15.0%から14.4%へと、引き下げられています。
もちろん、カードローン(振込専用)も、返済実績に応じて金利が下がるサービスがありますので、毎月遅滞なく返済をしていれば、最大1.2%金利が下がります。
カードローンとキャッシングの使い分け方
これまでご説明したように、カードローンとカード付帯サービスのキャッシングはそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットが異なります。状況に応じて使い分けるのがいいと思います。
カードローン
・まとまった金額を借り入れしたい
・金利を少しでもよいので抑えたい
・頻繁に借り入れしたい
カード付帯サービスのキャッシング
・少額借り入れしたい
・借入する機会は多くない
・カードを増やしたくない
カードローンが合う場合
頻繁にお借り入れをする人、ある程度まとまった額をお借り入れしたい人は、お借り入れに特化したカードローンを使うほうが得策です。カード付帯サービスのキャッシングよりも低い金利で限度額まで何度でもお借り入れができ、月々の返済額が固定されていれば、資金計画も立てやすくなります。
急に現金が必要になったときでも、手軽にお借り入れができるという利便性の高さは、カード付帯サービスのキャッシングと同等です。お借り入れの限度額はキャッシングより大きく、審査によりますが数百万円までのお借り入れもできますから、キャッシングではカバーできないほどの金額が必要な場合に検討しましょう。
また、三井住友カードのカードローンのように、借入額や返済実績に応じて適用金利が下がるといったサービスを提供している商品もあります。カード付帯サービスのキャッシングでは、こうしたサービスはあまり一般的ではありませんから、これもカードローンならではのメリットでしょう。
キャッシングが合う場合
「普段、借り入れをする機会がほとんどなく、するとしても少額」という場合には、わざわざカードローンを申し込むまでもないかもしれません。借入額も少額であれば、いざというときに銀行やコンビニで手軽にお借り入れすることができますので、カード付帯サービスのキャッシングを利用するのがいいでしょう。カードをこれ以上増やしたくないという人も、キャッシングが適しています。
ただ、時間とともに人の生活環境は変わっていきますし、お金の使い方にも変化が表れます。キャッシングすることが増えてきたな…と感じたら、返済実績によって低い金利で借りられるようになるカードローンを検討してみてもいいかもしれません。
キャッシングを利用する場合の注意点
カード付帯サービスのキャッシングの場合は、手持ちのクレジットカードに、あらかじめ「キャッシング利用枠」を設定しておく必要があります。この手続きを済ませておかないとキャッシングの利用ができず、いざというときに現金を引き出せません。
また、クレジットカードには利用ができる限度額である「総利用枠」が設定されており、その中に「ショッピング利用枠」と「キャッシング利用枠」が含まれています。つまり、「ショッピング50万円、キャッシング20万円」と設定されているカードで10万円をキャッシングすると、ショッピングで使える枠が40万円までになります。ショッピングとキャッシングを合計して利用できる金額が、総利用枠なのです。少々ややこしいところですが、注意が必要です。
年代別ではカードローンの利用目的に違いが出る
カードローンを利用している人々の利用目的は、「将来の臨時収入や収入の増加などを見込んだ支出の先取り」「旅行や物品購入などによる支出の先取り」などが上位に来ています。
しかし、利用の目的をさらに細かく見ていくと、それぞれのライフステージによって理由が異なっていることが分かります。
20代以下では「資格取得などの自己投資」が多く、次いで「結婚や子供の出産などによる支出増」が多いという結果になりました。
40代以降になると、「失業などによる収入減」「急な冠婚葬祭などによる支出増」が目立つようになります。
年代ごとのライフイベントに合わせて、カードローンの申し込みをしていることが分かるでしょう。
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